概要
この度、多年にわたり懸案であった『高野山大学図書館所蔵高野山古絵図集成』の刊行が決まり、『高野山大学図書館善本叢書』第3巻として出版することになった。
高野山大学図書館が所蔵する「高野山古絵図」60点と同古絵図の版木5点の、都合65点を紹介する。高野山の古絵図研究としては、日野西眞定高野山大学名誉教授編著の『高野山古絵図集成』と『同古絵図集成解説索引』が挙げられるが、本書では日野西名誉教授が未紹介の資料を51点紹介している。
特に、本書巻末には、収蔵の高野山古絵図・版木を電子化して、DVDとしてメディア変換して附録とした。これを活用していただくことで、細部にわたり、古絵図資料の内容について確認することを可能にした。これは他に類書がない、新企画の高野山古絵図集成である。
本書を活用されることにより「高野山古絵図」の内容が明らかにされ、高野山史のみならず、1200年以上の連綿とつないできた世界遺産高野山の魅力の一端を吐露するものとなった。
なんといっても、高野山の塔頭寺院の変遷を見るには本書は格好のメディア資料である。高野山内の寺院は最大で1800以上の寺院数をあり、江戸時代後期でも500ケ寺以上を数えた寺院が軒を並べていた。本書を披見されるだけでも、時空を超えた高野山へと読者の方は導かれるであろう。
高野山大学総合学術機構課長 木下浩良