■第一 1、誕生奇特 天竺の聖人を夢にみて懐妊す 2、幼稚遊戯 5・6歳、蓮華上で諸仏と語る、泥土で佛を造る 3、四王執蓋 問民苦使、四天王に守られている大師を拝す 4、誓願捨身 衆生を導くに相応しい者ならば助けたまえ、と捨身す 5、明敏篤学 阿刀大足から、また大学にて経書を学ぶ 6、聞持受法 勤操から求聞持法を授けられる。『三教指帰』を書く 7、大瀧飛剣 阿波・大瀧寺にて求聞持修法中に大剣飛来す 8、室戸伏龍 室戸崎にて求聞持修法中、毒龍のさまたげを降伏す 9、桂谷降魔 伊豆・桂谷山寺にて虚空に大般若魔事品を書く 10、出家受戒 20歳、槙尾山寺にて勤操にしたがい出家す。22歳受具。 11、明星入口 室戸崎にて求聞持修法中、明星口に入る ■第二 1、天狗問答 室戸・金剛定寺にて天狗を退治する 2、久米東塔 久米東塔において『大日経』を拝見し、入唐を決意す *出家受戒 31歳、出家す 3、渡海祈願 薬師像を造り、渡唐の無事を祈る 4、勅許入唐 延暦二十三年、遣唐大使とともに肥前田浦を出帆す 5、入唐着岸 福州に着岸す。大使に替わって書をしたため長官に呈す 6、長安入洛 迎客使とともに七珍の鞍で飾った馬で長安に入る 7、五筆勅号 唐・宮中の二間の壁に、左右の手足と口に筆をもち書く 8、虚空書字 文殊の化身の童子と流水上に文字を書く ■第三 1、渡天見佛 神童に導かれて印度霊鷲山に行き、釈迦の説法を聞く 2、在唐入壇 青龍寺東塔院にて恵果和尚から両部の灌頂を受法す 3、珍賀怨念 順暁の弟子・珍賀、大師が両部を受法するを怨む 4、守敏護法 興福寺の守敏、大師の受法をそねみ護法を遣わす 5、道具相伝 恵果、遷化の期せまるをしり健陀穀子袈裟などを贈る 6、恵果入滅 恵果和尚遷化す。入寂の夜、大師に遺命す 7、恵果影現 入寂の夜、縁に深きことを大師に遺命す 8、投擲三鈷 明州の浜で、持てる三鈷杵を日本に向けて擲つ 9、著岸上表 帰国し、『御請来目録』を朝廷に呈上す ■第四 1、帰朝上表 『御請来目録』の内容を記す 2、賀春生木 宇佐神宮・賀春神社にて入唐中の加護を謝す 3、遠救火災 大師、西にむかって洒水す。青龍寺の火難のためなり 4、参詣御廟 河内の聖徳太子廟に参詣す 5、清涼成仏 清涼殿の宗論の席で、金色の大日如来を現出す 6、御柴手水 槙尾山寺で神呪を誦じ、清水を湧かせ椿に檜葉を付す 7、高雄灌頂 弘仁三年、高雄山寺にて最澄らに灌頂を授ける 8、隔河書額 洪水のため、清滝川をはさんで金剛定寺の額を書く ■第五 1、八幡約諾 東大寺中門にて八幡大菩薩と互いに御影を書く 2、稲荷契約 東寺を訪ねた稲荷神をもてなし、東山に鎮座させる 3、加持霊水 小栗栖に十一面観音を安置し、霊水を湧出せしむ 4、宇治河船 宇治川の渡守に、船賃の代わりに船の字を書き与える 5、水神求福 水神が福を求めたので、履をぬぎあたえる 6、久米講経 久米寺にて『大日経』を講す。天神地祇、随喜聴聞す 7、南円堂鎮 冬嗣のために興福寺南円堂の鎮壇法を修す 8、勝地福田 大和室生寺に三国伝来の重宝を安置す 9、二人弟子 大師に世にしられざる弟子二人あり 10、真如親王 真如、大師の威儀厳然たるを拝し、恭敬礼拝す 11、観法無碍 水輪観・覧字観など大師の観法の奇瑞を記す 12、禪僧与油 石巌を加持して油を湧出させる ■第六 1、智日草創 大師、会津・恵日寺を開創す 2、霊山結界 奥州信夫郡の霊山寺を結界し、悪魔を退治す 3、釈尊出現 讃岐屏風ヶ浦にて釈尊を拝す。その後我拝師山という 4、讃州剣山 かつて剣を埋し讃岐剣山に、千手観音の霊像を安置す 5、善通寺額 陰陽師清明、大師の書く額を恐れて、道を替えたる話 6、土州朽橋 土佐の朽木の橋に三帰を授け、堅固となす話 7、天地合字 行基の弟子の妻から供養をうく。お礼に天地合を柱に書く 8、大峯修行 役の行者との深き契りにより、大峯修行を行なう 9、小児活生 和泉国大鳥郡にて死せる男児に蘇生の呪を誦じ、救う 10、了知牛語 摂津住吉の浦にて子牛に語りかける話 11、日想観 四天王寺の西門にて日想観を修す 12、龍泉湧出 河内国龍泉寺にて悪鬼を加持して清泉を湧出させる話 ■第七 1、高野尋入 山人に導かれて高野に尋ね入る 2、巡見上表 山上に至り、伽藍を建立すべく上表す 3、丹生託宣 丹生明神から高野の地を譲渡される 4、皇帝御祈 弘仁7年10月、嵯峨天皇のために香水一瓶を加持す 5、三鈷宝剣 伽藍の建立に着手す。唐から擲し三鈷発見し、宝剣を堀出す 6、大塔建立 大塔をはじめ諸堂を建てる 7、秘鍵開題 弘仁9年、天下の大疫を憂い、心経秘鍵を草す 8、権者自称 秘鍵を講ず。結願を前に霊験あらたかなり。天皇、権化と称す *満濃池築堤 満濃池の修築別当に任ぜられる 9、皇帝受法 弘仁十三年、平城上皇に灌頂を授く 10、東大寺蜂 弘仁元年東大寺に蜂の大群現れる。大師を別当に任ず 11、東寺勅給 弘仁十四年、東寺を大師に給預す ■第八 1、神泉祈雨 天長元年、神泉苑にて祈雨法を修す 2、守敏降伏 守敏、大師と呪力を争う 3、仁王経法 天長2年4月、東寺にて仁王経法を修す 4、二間修法 毎月、宮中にて観音供を修す 5、対治疫鬼 良房卿の家中に大疫おこる。大師、真済に五鈷と念珠 を持たせて派遣す 6、恵果救療 天長8年6月、大師病により大僧都を辞す。恵果、約束により影向し加持す。 7、皇嘉門額 皇嘉門(応天門 額の文字の霊験のこと *綜芸種智院 天長五年、東寺の東に綜芸種智院を開設す ■第九 1、後七日法 承和2年正月、後七日御修法を修す 2、門徒雅訓 諸弟子に各寺を付属す。承和2年三月15日、諸弟子に遺誡す 3、入定留身 大師、結跏趺座して入定す 4、嵯峨喪礼 嵯峨天皇崩御するにあたり、大師、約束により高野にて荼毘す 5、贈位官符 大師、大僧正位、法印大和尚位を贈られる 6、慈覚霊夢 慈覚の夢に大師現れる 7、高野珍瑞 8、贈大師号 醍醐天皇から弘法大師の謚號を贈られる ■第十 1、住吉同体 村上天皇、大師の十号を問う。大師は住吉明神と同体なり 2、幡慶夢想 寛弘年中、河内国普光寺の幡慶、入定せる大師を夢想す 3、遺跡影向 東寺僧縁実、善通寺に下向せる時、大師影向す 4、博陸参詣 御堂関白道長、高野に参詣す 5、大塔修造 平清盛、大塔を再建す 6、高野臨幸 高野山は生身の仏に逢える日本の浄土なり。歴代の天皇、この山に臨幸あり。 |
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